あるお客さんの話ですが、スズキのワゴンRでクーラーが急に冷えなくなったとの事でした。お聞きすると、つい先日ディーラーがリコール点検の際にエアコンもやっておきました。ということで調べてみました。
ディーラーで見たとの事なので、きわだった問題は無いだろうとかかってしまいました。最近の車はガス量を目視するガラス窓が無い事です。それで基本的にガス圧を点検しました。
ガス圧は車種や気温でかなり差がでますから、確定要素にはなりにくいのですが、その車の場合まあ許容範囲でありました。さらに高圧パイプと低圧パイプを手で触って温度を確認しました。
すると何と低圧と高圧の温度差がほとんどありません。通常は低圧は冷たく、高圧は熱いのに。またコンプレッサは壊れるほど走行距離や年数は経っていませんので。そうすると考えられるのはエキスパンションバルブの凍結です。それでお客様にも説明して、100%の確率ではないが、一応交換してみようか、という事になりました。
それからエキスパンションバルブの交換のため、まずパイプラインのガスを抜きましたが、その時気になった事は、意外と早くガスが抜けてしまったという事です。いつも抜く時間より半分以下で抜けてしまいました。その後、エキスパンションバルブを交換し、パイプラインの真空引きしてガスチャージにかかりました。ただ問題はガラス窓が無いため、どの程度のガス量を充填するかは、冷え具合を見ながらやる事にしました。経験からいって、ガスを入れすぎると冷えなくなるからです。その車はガス1本充填したら冷え始めましたので、最近の車は省エネでクーラーのガスも少なくで冷えるように改良されているのかと勝手に思い込み、それだけの量で完了しようと思い、テスト運転を続けましたら、何と急に、前と同じ現象で冷えなくなってしまいました。このままではお客様にお渡しする事は出来ないので、再度、真空引き、ガスチャージをしてみようかとも考えましたが、もう少し考えてみました。外車なんかの場合はガラス窓が無いのが多いので、コーションパネルにガスの量が表示されています。それでスズキのその車の表示を見ると、クーラーガス量は普通の缶2本分のような表示でしたから、さらにガスの補充をしてトータルで2本分入れました。
すると何事もなかったかのように直ってしまいました。折角エキスパンションバルブまで換えたのに、ガスの充填だけで直ってしまったのです。なんとも腑に落ちませんが、ディーラーがガスの充填を忘れたとしか思えません(上記のように、ガスを抜いたときに早く抜けすぎた時、気づくべきでした)。
あまり他を信用せず、基本的な要素の確認を整然と進める事が必要と思いました。